有害なる独身貴族

「……どうしちゃったの、つぐみちゃん」

「いえ。……すみません」

「謝ることないわよ。そうね、綺麗事言っても仕方ないから言うけど、大変なのは間違いないわ。意地になって産んだものの、あの子、金髪でしょ? 普通のシングルでも風当たり強いのに、この容姿なら何言われるかわからないって怖かった」


目を伏せた茜さんは、指先で何かをなぞるような仕草をした。


「でもね……私の母はイギリス人なんだけど」

「茜さんハーフなんですか?」


瞳も黒いし、日本語もしっかりしているから分からなかった。
でも色素の薄さとか、言われれば納得できる部分もある。


「浅黄が生まれた時、その母が言ってくれたのよ。自分と同じ髪色の孫ができるなんて、諦めてたから嬉しいって。何があっても、浅黄の味方でいてくれるって。……私、嬉しかったわ。一人でも味方がいてくれるなら頑張ろうと思った。だからなんとかやってるけど、まあ忙しいわよ。……正直、途方にくれたことは何度もある」


当然だ。
今茜さんがいくつなのか正確には知らないけど、浅黄くんが八歳ってことは、私くらいの歳に妊娠したってことなんだろう。

今もし、私がそんな状態になったら、そもそも子供を産もうと思えるかが分からない。
自分が、あの親のようにならない自信なんて無いもん。

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