有害なる独身貴族


「だったら余計」


結婚できたら、幸せになれるんじゃないの?

疑問を問いかける前に茜さんが口を開いた。


「橙次は私に同情してるだけだもの。好きになろうとしてくれた時もあるみたいだけど、そういうのってどこかで破綻するの。大体、自分といて幸せそうじゃない人の傍にいるって辛いって思わない? つぐみちゃん」

「それは」


……思う。

父や母といた時、家の中が冷たくて辛かった。

隙間風が吹くような家でも、おばあちゃんの傍は、とても居心地が良くて幸せだった。
それは、おばあちゃんが私を好きでいてくれたからだ。

「私はね、浅黄といると幸せだなって思うの。父親に似てオドオドした子だけど、私を全面的に頼ってくれる姿とかにね、力をもらえるのよ。
でも橙次といても、楽だなとは思うけど別に幸福ではないわ。関係を持てばからは満たされるし、心も引きずられる。もっと先を期待したこともあるわ。でも、橙次は物理的には援助してくれても、心を救ってはくれないの。だから、結局辛くなるだけだった」

「……茜さん」

「今は楽しいわよ。橙次とちゃんと友達になれた。依存しあわない関係の方が私たちには合っていたのよ。最初から、セフレなんて頼まなきゃ良かったと思うくらい。だから、私と橙次は、もう何の関係もないの。安心して?」


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