有害なる独身貴族


 それから数日が過ぎる。

仕事終わりにお誘いをしてくる上田くんのしつこさに辟易しつつ、なんとかかわしているうちに、試食会の日になった。
アンケート用紙も用意したし、お料理は店長がいつもよりも腕によりをかけて作っている。

私は試食会に参加するのは二回目だ。
前回は接客担当だけだったけど、今回は裏方作業もさせてもらっているから余計緊張する。


大方の準備が出来た私たちは、今後のチラシ用にと、色々な皿を使っての写真撮影を行っていた。


「この写真が美味そうに見える」

「光の具合が大事なんですよね。以前プロの方にお話を聞いた時にはですね……」

「プロなー。頼んだらいいの出来るんだけど金かかってなぁ」


数家さんと店長が顔を突き合わせつつ、一枚一枚、デジカメの写真をチェックしているのを、私はテーブルセッティングをしながら聞いていた。


「今日刈谷ちゃん、来るんだろ」

「来ますよ。なんか、新しいモニターさんも連れて来てくれるそうです。会社の同期だそうで」

「ってことはお前ら世代ってことだよな。30代後半から45歳くらいまでの間でもう一人ほしいな。誰か居ないか? 男女は問わないけど」

「その年代なら、店長のほうが詳しそうじゃないですか。お友達とかいなんですか」

「子育て世代だからな、あんまり出たがらんのだよなぁ。茜のほうが知ってるかもな、客にいそうだ。今度聞いてみるか」


モニターも色々考えて決めているんだな。
美味しい料理だけ出してれば売れるというほど、甘いもんでも無いんだよねぇ。

< 118 / 236 >

この作品をシェア

pagetop