有害なる独身貴族

「……いざ手に入ると思ったら、欲が出たんだよ。上田じゃないけどな、俺はもう四十なわけ。男として一番いい時期はもう過ぎてる。だったら、少しでも早く手に入れたい」

「手に入れるって……私を?」

「他に誰がいる?」


問いただしげに見つめられて、体中が熱い。ドキドキが止まらないよ。

そんな風に言われたら逆らえない。
なんでも、片倉さんの言う通りにする。


「わ、分かりました。すぐ書きます」

「あ、つぐみ」


踵を返そうとした私を後ろから捕まえてギュッと抱きしめ、耳元に囁いた。


「二週間後の定休日の夜で指定しろ。今までで一番うまい鍋を作ってやる」

「は、はい」

「よし、いっていいぞ」


ぱっと離されたけど、ドキドキしすぎて足もなんだかガクガクするよ。

こんなに片倉さんが甘ったるいことばかり言ってくれるようになるとは、全く予想外だ。
だけど、数家さんはこれを予測していたんだろうから、やっぱり凄い。

今まで感じたことが無いくらい、大事にされてることが嬉しくて。
でも慣れないから落ち着かなくて、ふわふわ、まるで夢のなかにいるみたいだ。


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