有害なる独身貴族
意味がわからずパチクリと瞬きをする。
上田くんは、頭をくしゃくしゃとかいたかと思うと、「あー」っと一叫びした。
「つまり、俺、房野さんのこと好きなんです。その、頼ってほしいんっすよ」
「……えっ、あ」
「じゃ、お大事に。電話待ってます」
上田くんは言いたいことを言うと、走って行ってしまった。
階段を駆け下りる音がガンガンと響く。
それが、私の頭にも響いてきて、なんだか頭痛がしてきた。
「……今の、何?」
頭がまわらない。
余計熱が上がりそうなんだけども。
好き?
私を?
上田くんが?
全くノーマークでしたけど。
「駄目だ。熱い」
今はとてもそんなこと考えられそうにない。許容量オーバーでパンクしそう。
フラフラになりながら、部屋に入り、壁際のベッドに倒れ込むようにして落ちる。
荷物も買ってもらった薬も投げ出して、私は布団にしがみついた。
氷枕を用意する気力もない。
とにかく寝よう。他のことは起きてから考える。
布団の中でじっとしていると、自分のとは違う店長のジャケットの香りを妙に意識してしまう。
ああ、脱がなきゃなぁなんて思いつつ、それに包まれていることにドキドキしながら目を閉じた。