やさしい恋のはじめかた
そのタイアップ企画を任されたときの私は、まさに天にも昇るような気分で、何をするにも楽しくて、勉強で、ダメ出しもお叱りも、全てが私の中で自然にやる気に変換されていった。
いいものを作りたい、今の時点での自分の力がどこまで通用するのか、怖くもあるけど試してみたい、もっともっと挑戦してみたい。
寝る間も惜しんで何パターンもキャッチコピーを考えたり、新聞・雑誌・ホームページにWEB広告などの各媒体を見た人が思わず目を惹かれるような、飛行機に乗って冒険に出かけたくなるようなものを必死で作った。
でも、今の私は、あの頃の情熱こそ失ってはいないはずなのだけれど、全くと言っていいほど自分に自信を持てなくなっている。
仕事の面ではこれといって目立った成果を上げられずに周りとの差が開いていくばかりで、プライベートでも、大海の考えていることが分からなくて、いつも不安な気持ちでいる。
落ち込むのはおしまいにしよう、そうして目の前の仕事に没頭していたはずだったのに。
後輩に図星を指されたことで、集中力の限界が今のタイミングで訪れちゃったんだろうか。
「……あの、今日はもう終わりにしませんか? コーヒーのお礼にメシ奢らせてください」
まだ頑張りたかったんだけどな、と思っていると、遠慮がちな声が頭上から降ってきて、私は思わず「へ?」とマヌケな声が出てしまった。