やさしい恋のはじめかた
それでも、私の目の前はすぐに仕事の山に覆われることになり、ひとつひとつ地道にやっていくしかプラスアルファまでは到底たどり着けなかった。
それこそサポートチーム総出で掛かってもなかなか終わりが見えてこなくて、チーム全員での情報の共有も逐一必要だったので、精神的には自分の考えた企画がボツになり続けていた頃よりきついものがあったかもしれない。
何度も何度も堂前さんやチームのみんなと額を突き合わせるようにして綿密なスケジュールを組み、タレントさんの嗜好をブログや雑誌なんかから洗い出してケータリングの候補を絞って。
ポスターやCMの撮影用のスタジオも、そのために必要な人員も、これでもかというくらい何度となく打ち合わせて。
やっとのことでメーカー側からも芸能事務所側からもOKが出ると、うちの会社からもようやくゴーサインが出され、ほっと一息つく間もなく撮影に入る。
一瞬たりとも気が抜けない時間は、まだまだ続く。
この段階になってなにか不手際が見つかれば、それは堂前さんの顔を潰すだけではなく、会社としても大きな責任になる。
プレッシャー、仕事の重み、サポートチームとしての責任の大きさも、並大抵のものではなかった。
これは私の仕事、この仕事をしながら自分のやり方やスタイルを作っていかなきゃならない。
桜汰くんの名前があったって、そこは関係ない。