オトナな部長に独占されて!?



さっき聞いた台詞が葉月部長の声で、勝手に脳内リピートされてしまう。


『彼女に好意を寄せて……彼女に好意を……彼女に……』


わぁぁぁっ‼︎

きっと何かの間違いだ。

私は部長が好きだけど、部長も私をなんて、そんな都合のいい話があるはずないよ!


落ち着け、私。

落ち着け、落ち着け……落ち着けるわけないでしょうー‼︎


頭隠して尻隠さずの状態で、こっちに向けて歩み寄る革靴の足音を聞いていた。


コツ、コツ、とゆっくり近づいてきたその音は、私の真後ろで止まる。


どうやら葉月部長は、楕円の会議用テーブルを半周したみたい。



「高村さん、出て来てください」


「む、無理です……」


「この会議室は12時20分から広報の会議が入っているそうです。
おや? あと1分ですね」


「ええっ⁉︎」



それは大変。

四つん這いでテーブルの下に頭を突っ込んでいる状態を、他部署の人に見られたくない。


慌ててバックしてから立ち上がると、

「失礼、広報会議は13時からの間違いでした」

とシレッとのたまう、部長の声を背中に聞いた。



やられた……とは思ったけど、三たび隠れる勇気もない。


ただ真っ赤な顔をして心臓をフル稼働させる私の肩に大きな手が乗り、クルリと体の向きを反転させられてしまった。


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