オトナな部長に独占されて!?
ふーん。
あの頃、住野主任が悩んでいたのは、お客さんの希望と予算がかけ離れていたためだったのか。
それはよくあることで、私も同じ問題で頭を悩ませることがしょっちゅうだ。
あと100万あればいいプランニングができたのにと溜息をつく時もあるし、お客さんの夢を形にする作業は、価格との格闘と言ってもいいくらい。
今日は完全プライベートで来店したので、葉月部長は店長さんに声を掛けないみたい。
ふたりのカップが空になると、お土産用にミントチョコを私に買ってくれて、それからすぐに店を出た。
駐車場を歩いて車まで戻ってくると、隣の車のドアが開いて、ちょうど新しい客が下りるところだった。
葉月部長が私の腰に素早く腕を回して引き寄せてくれて、開いたドアにぶつからないようにと気遣ってくれる。
「あ、すみません……」
と、隣の車から下りてきたのは、30代前半に見える男性で、葉月部長と目が合うと驚いた顔をした。