オトナな部長に独占されて!?
「冴島・ストアプランニングの高村と申します。
葉月部長とは同じ営業部で、私は係長をしております。
ご友人の斉藤さんにお会いできて光栄です。どうぞよろしくお願いします」
名刺はなぜか、受け取ってもらえなかった。
両手で名刺を差し出している私を見て斉藤さんはポカンとしていて、葉月部長はプッと吹き出して肩を揺らして笑い始めた。
「円香さん、名刺は必要ありませんよ。
彼はクライアントではなく、私の友人ですので。
私の部下であるという立場を主張する必要もありません。
説明するのであれば、私と付き合っていることをお話しいただければ良いかと思います」
し、しまった……。
つい、いつもの癖で名刺を出してしまった。
間違えた自己紹介に顔を赤くして、名刺を持つ手をゆっくりと下ろしていく恥ずかしい私。
すると斉藤さんは、下降中の私の手を握って止めて、名刺を抜き取った。
「あなたは可愛らしい女性ですね。紳一郎が好みそうな人だ。
折角ですので名刺をいただきましょう。僕は名刺を持ち歩いていないので、ご勘弁を。ハハッ!」
私の名刺をもらってくれた斉藤さんは、ジャケットの胸ポケットに仕舞おうとしていた。
その手を掴むのは、葉月部長。
なぜか、阻止しようとしているみたい。
「紳一郎……?」
「円香さんの名刺は、和也には必要ないだろ。
悪いが、それは返してもらう」