恋愛格差
「前向き」というよりは「どうでもいい」感が否めないセリフを漏らしたゆかりさんに、優はのめり込んだ。
今まで回りに居なかった見た目派手で大人な女。
そして優と全く違う考えを持った人。
優の目には魅力的に映っただろう。
そしてゆかりさんは華やかな容姿とかけ離れた寂しさを持った人。
これも優を揺さぶった。
そしてゆかりさんも真面目で可愛くて、自分を頼りにしてくれる真摯な彼に恋をした。
ゆかりさんの家は夜の仕事をしている母親がいるだけだし、彼を連れ込むのは容易いこと。
二人はゆかりさんの家で過ごすようになり、すぐにそんな関係になった。
「ゆかりさん自体も俺にとっては現実離れした存在で、
ゆかりさんと居るときは、いつもの自分では無い気がしたんだ。
今まで何も思ってなかったのに、ゆかりさんと居るようになって「今まで少し無理してたのかな?」と思うようになった。」
だから背徳行為のようなセックスにのめり込んだ。
「今考えると、ただ日常とは違う生活を楽しんでたのかもしれない……と思う……。」
「……ゆかりさんは「会えばセックスばかりで、それだけが目的みたいで嫌だった」って言ってたけど……」
「確かに……そうかも。俺は、バカで間抜けな若造だったし、のめり込んだのは事実。それが彼女を苦しめたんだな……。俺は自分勝手に求めすぎた。」
もう優の体は私から完全に離れている。
ソファに座って真っ黒のテレビ画面を見つめた。
「彼女を……ちゃんと好きだった?」
「…………それは……言いたくない。
俺は透子が好きなんだ。」
「過去の事だよ。少しでも……好きだった?」
ゆっくり優は振り返る。
「透子が好きだ。」
「わかってるよ。」
そう言って優の頭をもう一度撫でた。
優は静かに私の肩に顔を埋めてきた。それを守るように腕全体で包む。
「……憧れだった。ゆかりさんの全てが。強くて、寂しげで。
ゆかりさんはきっと悲しいことがあっても俺には何も言わず、俺を楽しませてくれて。
それがまた余裕な大人に見えた。
俺も自分には無いものばかりを持っているゆかりさんといると楽しかった。けど、実はゆかりさんに……追い付こうって焦ってばっかだった。」