嘘から始まる運命の恋
 写真の通り、おいしそうだ。

 私は鶏皮チップをつまんで口に入れた。スパイシーでカリカリしていて美味。

「んー、これ、イケる」

 私を見てカイが笑顔のまま言う。

「真由里がこういうのを食べるなんて意外だな」

 そう言われてドキッとする。

「そ、そうかな」
「そうだよ」

 そんなふうに思うのは、あなたも真由里も相手がなにを好きかとか考えるよりも、エッチをすることに夢中だからじゃない。

 そう言いたいけど、さすがに賑やかとはいえ居酒屋のカウンター席でそんなことは言えない。それになにより、私が真由里じゃないってバレてしまう。

 だから、別の言葉を言った。

「カイがジャズバンドのリーダーだってことの方が意外よ」
「そうかな」
「そうよ」
「そうか、そうだな」

 私の言葉に、カイはひとりで納得している。

「美容師をしながらバンドなんて、大変じゃない?」
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