キスは目覚めの5秒後に

「この間行ったBARのバーテンダーが素敵だったの。今度声をかけてみるつもりよ」


などなど、彼女たちはお酒が入ってなくてもかなりキワドイ会話をしてくれて、私はどぎまぎしながら聞いている。

スウェーデン人の気質として、こういう話は本当におおらかにするのだ。

テレビでもアレなシーンはすごく生々しいのだ。

子供の頃からそうなら、平気なのだろうと思える。

あとは会社の誰が仕事ができて誰と誰が恋人同士だとか、国が変わっても女子トークの内容はあまり変わらない。


「ね、ミヤコ。ベッドの上の彼はどう?」

「日本人の男って、やっぱり優しいわよね?」

「ミヤコが達するまで待ってくれるでしょ?」

「は!?何を言ってるの、彼は恋人じゃないから、そんなことしてないわよ!」


いきなり話が振られて、変な声が出てしまった。

なんてことを訊くのだ、この子たちは。


「ああそうだったわね。でも一緒に暮らしてればそのうちキスされるわ。男だし、愛があるもの」


愛?彼に?


人から見たらそう見えるのだろうか。

どうも彼女たちは、窮地を救ってその後の面倒も見てくれているのは、愛があるからだと思っているみたいだ。


そうなのかな?

同情とか利害の一致だけではないのかな?

それに、会って間もないのに、好きになれるものなの?


家での、彼・・・どう考えても、私をからかって面白がってるように思えるのだけど。

もう、あれも契約の内と思っておいた方が、気が楽かもしれない。


わたわたと挙動不審な私を置いて、彼女たちの話題は他に移っていた。

切り替えが早い。


そして楽しい時間はあっという間に終わり、久々にたくさんお喋りしてストレスが解消し、すっきりした気分でオフィスに戻る。



< 29 / 75 >

この作品をシェア

pagetop