キスは目覚めの5秒後に
「構わん。女の買い物は、いつもこうだろ・・・ああもうすぐ昼だな。少し早いが、何か食うか」
「じゃあ、オススメのレストランがあるんです。行きましょう」
ノーベル博物館の広場まで戻って、近辺に居並ぶレストランの一つに入る。
安くて美味しい地方料理が食べられると、世界中で評判のいいところだ。
中世の頃のワイン貯蔵庫を利用したお店で、レンガ造りの地下室みたいなところで食事ができる。
お店に入るとそこかしこに中世の鎧や武器が飾ってあって、中世にタイムスリップしたような感覚になる。
まだお昼には早いせいか、それ程混んでなくてすぐにテーブルに案内してもらえた。
飴色のテーブルセットに、ギンガムチェックのテーブルクロス、真ん中にあるキャンドルに灯が点されて、とてもロマンチックな雰囲気だ。
私はサーモンのマリネとグラタン風オニオンスープを、橘さんはビーフステーキと私と同じスープを頼んだ。
「行きたいところがあるって言うから、ブランドショップを巡るのかと思っていたんだが、意外だったな。雑貨が好きなのか?」
「はい、大好きです。日本の雑貨もいいですけど、特に北欧の雑貨が好きです。スウェーデン語を勉強しに留学したのも雑貨が目当てっていうか、この国自体が好きなんです」
「雑貨が目当てで、か。永住したいとは思ったことないのか?」
「はい。スウェーデン語で書かれた雑貨本を読みたい、本場で雑貨屋さんめぐりをしたいって、それだけです。この国に移り住もうとは思わないんです。私にとってここはディズニーのテーマパークのような、夢の国なんです。たま~に来れたら、嬉しくて楽しいな~って。日々の生活の糧になるんです」