キスは目覚めの5秒後に


「橘さん、今日は一日ありがとうございました。付き合ってもらって、おまけに雑貨も買っていただいて、このスウェーデン旅行で一番楽しかったです」

「バカ、これが最後みたいに言うな。明日また連れていってやるよ」

「・・・はい。ありがとうございます」


その夜は、私の留学時代のことを話したり、橘さんの学生時代のことを聞いたりして、楽しく過ごした。

そして次の日曜も、橘さんは約束通り“休日デート”をしてくれた。

今度は、橘さん主導でサンタワールドへ出掛けた。

ここは、一年中サンタさんがいるとても夢のあるところだ。

そこでクリスマスにプレゼントしてほしいものを書けるのだけど、何を書いたかはお互いに秘密にした。

私が書いたのは“幸せ”。きっとサンタさんには運べない。

そう思いつつサンタさんに紙を渡すと、二枚の紙と私たちの顔を交互に見たあと、にこーっと笑った。


「必ず、届けよう」


夢をもらえた。



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