キスは目覚めの5秒後に

他と違うのは、バースデーソングがスウェーデン版というところ。


♪そうだ彼女は生きる。

そうだ彼女は生きる。

彼女は100歳まで生きるんだぞ。

もちろんそうだ♪


・・・ちなみに、メロディも違う。

どちらかというと、雪山賛歌のような感じの力強いメロディだ。


彼女がろうそくを吹き消すと盛大に拍手が鳴り、すぐにケーキが切り分けられた。

早速切り分けられたケーキを取りに行く人や主役に挨拶に行く人、ダンスをする人、みんな思い思いに過ごし始める。

私は橘さんと一緒に料理を取りにいく。

日本人のパーティらしく寿司などの日本食もたくさんあって、どれも美味しそうで何種類も少しずつお皿にのせていると、彼に食いしん坊と笑われた。

橘さんと一緒に料理を美味しく食べていると、オフィスのみんなが代わる代わる来て話しかけてくる。


「じゃあミヤコ、さよなら。楽しんで帰ってね!」

「ありがとう。さよなら」


ほとんどの人に挨拶ができてホッと一息吐いた頃、視界の隅にゴールドのドレスが入ってきた。


「橘さん、踊っていただけますか」


なんと、主役の娘さんが彼を誘いに来た。

小さな顔で黒髪のすごく可憐な子だ。

まるで、ディズニーアニメの白雪姫みたい。

橘さんを見つめる目が潤んでいて、すごく嬉しそうに見える。

わざわざ彼を探してここにきたのだろうか。

彼は二度目の出席なのに覚えていると言うことは、パーティ以外でも何度か会ったことがあるのかもしれない。

たとえば、デートとか・・・。


「お久しぶりです。折角のお誘いですが、今日は連れがいますので辞退します」

「そうですか」


隣にいる私をチラッと見た彼女の表情が、みるみるうちに沈んでいく。

気持ちが表面に出る、とても素直な子だ。


「ちょっと、橘さん。私ならいいですから、どうぞ踊ってきてください」

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