キスは目覚めの5秒後に


主役の誘いをお断りしたらダメですよ!ヒソヒソ声で言ってグイグイと背中を押すと、彼は私をひと睨みしたあと彼女の手をとって中央に進んだ。


「怖い顔・・・なにも睨まなくてもいいのに」


ひょっとしたら、あんなこと言ってたけど、本当はダンスができないのかもしれない。

そう思いつつ見ていると、意外にもすごく柔らかなリードで踊っていて、彼女もうっとり幸せそうな表情をしている。

彼女はしきりに話しかけていて、彼も笑って受け答えている。

私に見せる表情とは雲泥の差ではないか。

これは、年の差恋愛も有り得るかもしれない。

なんか、イラッとする。



「ちょっと飲みすぎちゃったかな」


きっと、普段飲み慣れないワインを二杯も飲んだからだ。

お手洗いを済ませて廊下に出ると、目の前に腕が延びてきたのが見えた瞬間、体をサッとさらわれて壁にドンと押し付けられた。

すぐ横に柱が出っ張っていて、他からは死角になるところだ。

わざとここに入れられたんだと思える。


「ルドルフ!」

「ミヤコ、やっとつかまえた」


手首が捕まえられているし、私を閉じ込めるようにルドルフの肘から先が顔の横の壁に付けられている。

壁と柱の三角コーナーに入れ込まれてしまって、どうにも抜けられない。

腕を振り解こうと暴れれば、ルドルフの体が密着してきた。


「放して!」

「ミヤコの脚は治っただろう。つまり、ようやく俺とデートできるってわけだ」

「しません。戻ります。放して!」


顔を近づけてくるルドルフから逃げようと、懸命に顔をそむける。

すごい力で私の手首を壁に縫い止めていて、動かすことも出来なくなった。

膝の間を割ってルドルフの脚がぐっと入ってきて、嫌な予感でいっぱいになる。

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