キスは目覚めの5秒後に
無言のまま部屋に入るとすぐにドアが閉められて、後ろから抱きすくめられた。
「いいのか?俺が忘れられなくなるぞ」
自分で招き入れておいて、今更な言葉だ。
絡み付いている腕をほどいて、彼と向き合って上目使いにしてちょっぴり挑戦的に見上げる。
「自信があるの?」
「もちろんだ」
彼の長い指が私の耳の辺りの髪をもてあそぶ。
その、耳に触れそうで触れない指使いに焦れて、もっと触れてほしいと思ってしまう。
瞳で訴えると、彼は妖艶に微笑んだ。
「・・・そそる顔だな」
髪に触れていた指が後頭部に回って、彼の唇がゆっくり近づいてくる。
そっと目を閉じると、柔らかくて甘い感触に唇を支配された。
口中を動き回る舌に体中の感覚がもっていかれる。
体の中心が疼いてしまって、立っていられなくなる。
思考を奪われて力も抜けて、夢中で彼にしがみついていると、背中に空気が触れたのを感じるのと同時に、プッと微かな音がして胸が下着の圧迫から解放された。
キスをされながらするすると服を脱がされて、気づけばベッドの上に寝かされていた。
私に覆い被さったままネクタイを外した彼の指と唇に触れられるたび、体が喜びに震えて切ない声がもれる。
月明かりが射し込む窓辺のベッドで、彼の息づかいと私の吐息と声が甘いハーモニーを奏でる。
恍惚の海に溺れてふにゃふにゃになった私の体を、彼は自由自在に動かした。
「美也子、大丈夫か?」