キスは目覚めの5秒後に

「あ、そうだ。奈帆、ごめんね。スウェーデンのお土産何も買えなかったの。約束していたのに。実はあっちで大変な目にあっちゃって」

「あーそれ、携帯失くしたことも関係あるんだよね。今すぐ知りたいけど、あとで旅行話詳しく聞かせてよ。今日、いつものお店に行くわよ」

「あ、じゃあ、携帯契約してからでいいかな?8時に待ち合わせ」

「いいわよ。じゃ、あとでね」


好奇な視線が集まる中、普通に話しかけてくれる奈帆の存在がありがたく思える。

この状態は一週間もすれば普通に戻るだろうけれど、なんとも居心地が悪い。

エレンたちはヒソヒソすることなく、なんでもズバッと訊いてきたのに、これも国民性の差かな。

スウェーデンのオフィスが鮮明に思い出される。

みんな、今ごろは夢の中だ。

もちろん橘さんも・・・。


「ああ駄目だ、仕事に集中しよう!」


そうだ、私はこの仕事を選んだのだから。

パソコンのメールソフトを立ち上げると、受信ボックスには未読メールがどんどん積み上がっていった。

それからは、メールの処理と新しいデザイン作りに没頭して、一日を過ごした。

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