キミに出会うまで
函館空港には、ご両親がお迎えに来てくれた。


「優花ちゃん、いらっしゃい」


「遠かっただろ、疲れてない?」


「いえ、だいじょうぶです。


ずうずうしくお邪魔してしまって、申し訳ありません」


「いいのいいの、お腹すいたでしょ?


お寿司好きかしら?」


「はい、大好きです」


「じゃあ、さっそく向かいましょ」


「俺の存在、気づいてる?」


「もちろん、当たり前でしょ。


なんか優樹、少し丸くなったんじゃない?」


「え、俺べつに太ってないけど?」


「違うわよ、顔が優しくなったってこと。


優花ちゃんのおかげかしら?」



なんて答えたらいいんだろう。


曖昧に笑って、やり過ごした。







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