恋に落ちるなら君がいい




その日


慧はバイトに行ったまま帰って来なかった。





バイト先に連絡をいれても

彼は出勤して来なかったと伝えられ


帰って来ないわけがない。

必ず帰って来ると信じて


待っていた。

ずっとずっと待っていた。



朝になっても

また

夜が訪れても

慧が帰る場所は2人のこの部屋なんだと信じて…


でも丸一日が過ぎた夜更け


どうしようもない不安感。


その時初めて知ったんだ。


慧を探すための術を何も持ってないこと。


慧のことを何も知らないこと。


このまま慧が帰って来なかったらって…

慧がどこかで死んでたらって…


嫌なことばかり考えて


不安で不安で外へ飛び出した夜更けに

霜で凍っていた階段から足を踏み外して



赤ちゃんまで…


喪った。




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