恋に落ちるなら君がいい
「いいよ。なんでもいい。
これも演技でいい。
仲の良い夫婦を演じる練習でいい。」
そのまま体に体重を任せると
彼女はキッチンの横壁と俺に挟まれたまま
座り込む。
「社長っ!本気で怒ります‼離婚しますっ‼」
「離婚は…片方の意見だけで成立しないことくらい君も知ってるだろ?」
「それは…」
そう言うと
澪は俯き口をとざす。
意地の悪いことをしているのは分かってる。
だけど
触れたい。
澪がどうしても嫌なら
勝手に出てってくれても構わない。
でも
澪は必ずここにいる。
そう。
他に好きな奴がいたって。
細いあごを指先で捕まえてキスする。
人はなぜ
触れたい抱きしめたいと思った時に
唇を重ねたいと思うのだろうか…?
それはきっと
好きすぎて…
食べたくなるくらい
好きだから。