恋に落ちるなら君がいい
渋滞のせいで自宅に着いたのはもう夕方近くだった。
「澪っ‼」
勢いよく玄関の扉を開けて中に駆け込むと
ボウルを片手に
呑気な顔をした澪が顔をだした。
「楓社長…?お帰りなさい。」
「…居たのか。」
不思議そうに俺を見つめる彼女の顔を見た途端
一気に体中の力が抜けていくのを感じて
目の前にいた彼女に力無く抱きついた。
「社長っ‼
こういうのやめて下さいっ‼
クリームも零れちゃうし‼」
片手にボウル
もう片手に泡立て器を持った彼女は嫌がる事ができても、その手で俺の体を押しのけることまでできない。
「嫌だ。離したくない。」
「セクハラですよっ‼」
「違うよ。だって君は…水無月澪。
俺の奥さんだ。」
「そっ、それは世間上の話であって…っ‼」
「でも君は、俺があげた指輪をちゃんとしてくれてる。」
「それは仲の良い夫婦を演じる約束だからです!外に出て、知り合いに会った時に指輪をしてなかったら変に思われるかもしれないからっ」