恋に落ちるなら君がいい





「叔父様っ‼どうしてすぐに慧一を探してつれもどされないんですかっ‼⁈」


あの時の私は

本気で慧一の父親に怒っていた。


慧一が…いなくなる。


それは

私の存在価値が終わりを迎えることを示し、保証されていた愛を失う事を意味していたから。




唯一この世界に


これから先、私に無償の愛を注いでくれるはずの

たった一人の男の子。



それを手放した私は…


その時、不意に思い出した昔飼っていた小鳥の存在を…。



大切なものは


大切に大切に籠の中にいれておかなきゃ…


二度と私の所に戻ってはこない。



一刻も早く


慧一を探し、連れ戻さなくてはいけない…


彼が

この世界から…


私の目の届く所から

手の届く所から…


消えてしまわないうちに。


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