恋に落ちるなら君がいい
私はすぐに探偵を使って慧一を捜した。
慧一を見つけたという知らせを聞いたのは私が慧一の失踪を知らされて1ヶ月のこと。
調査探偵から渡された報告書を見て
言葉を失った。
既に慧一は橘澪という恋人を作り
その少女のお腹に慧一の子がいること…。
腹がたつ。
そんな事はなかった。
ただ
一気に
地獄の底へ…
奈落の底へ突き落とされたような気分で目の前が真っ白になった。
零れ落ちる涙が
今まで頑張ってきた自分の姿と
大切にしていた慧一の姿を映して
壊れ弾け飛ぶのを見ながら
まだ
終わったわけじゃないことに気が付いた。
今、慧一を連れ戻せば
傷が浅いうちに連れ戻せば
慧一は
ちゃんと私をみてくれる。
必死だった。
父親に頼んで慧一を連れ戻し
慧一の父親に慧一を引き渡しても
自分が慧一を連れ戻す計画をした本人だということを
慧一に知られないように…
嫌われないように
何もかも必死だった。
連れ戻して顔を見た瞬間
安心よりも
触れたくて
抱きしめたくて
もどかしかった…
それが愛なんだと
自分が心から慧一を愛しているんだと知った。
誰にも慧一に触れさせない。
誰にも慧一を渡さない。
もう二度と
彼が籠からでてしまわないように…
私は必死だった。
時間が過ぎるにつれて、慧一も私を見てくれてると思っていた。
思い込んでいた。
あの件で確かに慧一に多少の傷はついたかもしれないけれど
そのキズは浅くてすぐに跡もなく消えてしまうものだと思ってた…
でも
その傷の深さを知らされたのは…
ようやく慧一と、結婚という形で結ばれたその後だった…。