お猫様が救世主だった件につきまして




「ぎゃあああ! 落ちる! 痛いのやだああああ!!」


見苦しく騒いですみません。ですが仕方ないでしょう。ゲーセンにいたはずなのに、いきなり床が抜けて落ちていくなんて。

しかも、どれだけの深さに落ちていってるの!? 落ち着けば何秒という時間がわかっただろうけど。突然の出来事にパニックに陥って、冷静な判断なんて無理!


そもそも、床が消えて突然落下すれば誰もが冷静で居られないと思うけど。


やがて、ぽふんと柔らかい衝撃があって。ふわりと体が包まれる。どうやら落下から助かったらしい、と頭が理解するのにしばらくかかった。


「ふぎゃ!」


奇妙な叫びはお許しください。胸の辺りにいたミケが、あたしの顔を踏んづけて移動していったんですから。落下の最中は抱きしめてあげてたのに。この薄情猫!


あたしもようやく体を起こす。そこで、自分たちが羽毛のようなものに埋もれてると気付いた。どうやら敷き詰められたこれで助かったみたい。なんてラッキー。


「にしても……ここはどこだ?」


きょろきょろと辺りを見回すと、白い天井と床と壁。一面真っ白。かといって病院とかじゃなく、イメージとしてはお城やローマの建築物みたいな。白い石で出来た室内には豪華な装飾や色彩豊かなステンドグラスが填められた窓がある。


もちろん、あたしにはまったく見覚えがない。床が抜けて落ちた先なのに、太陽の光が射し込む窓があるのが不可思議だった。


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