お猫様が救世主だった件につきまして




「まぁ!」


突然、叫び声が聞こえて振り向けば。白い布を頭から被ってワンピースみたいな体にフィットする服をきた女性が2人いた。おそらくあたしのお母さんより年上っぽいひとと、あたしと同じくらいの女性。2人とも何だかシスターの格好に似てる。


「誰か、アレク様にお知らせして! それから院長と司祭長を」

「は、はい!」


傍らにいた同じ服を着た若い女性は、先に声を上げた女性の命令に早足で部屋を出ていく。それを見送った年上の女性は、こちらへゆっくりと歩み寄った。


「わたくしはアンナと申します。突然のことで驚かれたことでしょうが、わたくしどもはあなた様に危害を加えるものではありません。
いえ……むしろあなた様は、わたくしどもをお救いいただく尊きおかた」

「救う……?」

「はい。この国……アクアティス王国と申しますが、かつてない危機に直面しているのです。隣国のステルス帝国……かの国は、卑怯な手段でもって我が国の領土を奪い。今や国土の半分近くまでもが帝国に占領されてしまったのです」


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