お猫様が救世主だった件につきまして




「あれ、姉ちゃんどしたんだ? 今日はバトルじゃないの?」


ドムくんの家を訪ねると、寝たきりだったお母さんが珍しく起き上がってた。


「あ、お母さんよくなったの?」

「うん! 姉ちゃんが数字を教えてくれたおかげでさ、ぼったくられなくなって。貯めた金で母ちゃんを医者に診てもらえたんだ」

「その節は本当に、お世話になりました。あなたのおかげで私も……もうすぐ働けるようになるでしょう。町に知り合いがいて仕事の伝はありますから。ようやくドムに子どもらしい生活を送らせることができそうです」


お母さんのほっそりした手が、息子の頭を撫でる。ドムくんはよせやい! と顔を赤くしながらも嬉しそうだった。


よかった……


これで、この親子は大丈夫。


他に教えた子どもたちも、それぞれそれなりにうまくいってて。最後に訪れた教会で、あたしはメガネを新しくした神父様にお礼を言った。


「今まで、本当にありがとうございました。お世話になりました」

「これも主のお導きでしょう。わたくしに出来たことはありませんが、あなたの往く道に神のご加護があらんことを」


最後に昨日まで猛練習したカラクリのゲーム機に触れた。


「ありがとう……今まで本当に、ありがとう」


< 68 / 79 >

この作品をシェア

pagetop