恋は死なない。
目の前であらわになった和寿の体に、佳音は息を呑んだ。こんなふうに、男性の体を目の当たりにすることなんて、経験したことがない。
裾をロールアップさせた和寿のチノパンからも、まだ水滴が落ちていたが、当然そちらには手を出すことができなかった。
自分の中の焦りを隠すように、佳音は再びタオルを手に持ち、和寿を拭き始める。無心に、何も考えないように、両腕を伸ばして芯まで濡れた和寿の髪をしっかりと拭きあげる。
そのとき、ふと和寿の眼差しに気がついて、佳音の腕の動きが止まった。そして、向かい合う和寿を見上げて目が合うと、佳音はもうそこから視線を動かせなくなった。
和寿の深く優しい眼差し。今日のそれは、いつもにも増して切なさをはらんで、言葉以上に和寿の想いを物語り、佳音を捉えて離さなかった。
そんな目で見つめられると、胸が締め付けられて、佳音の中に押し込めて思い出にしようとしていた想いが、また溢れてくる。
佳音は、その想いのままに和寿を見つめ返す。目の前にいる人は、ずっと会いたくてたまらなかった人、本当に愛しくて愛しくて、佳音が心から恋い慕う人だった。
和寿の腕が動いて、両手のひらが佳音の頬を包む。それから自然と吸い寄せられるように、なんの躊躇もなく二人の唇が重なった。