恋は死なない。



触れ合った瞬間、痺れを伴うような感覚が、佳音の唇から全身へと駆け巡っていく。

ただ触れるだけではない、深い深い想いを表すためのキス。まさしく愛し合っている者同士が交わすキスだった。二人は溢れてくる想いのままに、キスを交わし続けた。


和寿の手が佳音の長い髪をかき上げながら後ろ頭に回され、もう一方の腕は背中に回されて、和寿からのキスはさらに深められ熱を帯びていく。それに気づいた佳音は、途端に怖くなり、タオルを持ったままの手で和寿の胸を突き、唇を離した。


緩く首を左右に振り、和寿に抱き寄せられたまま体をこわばらせて顔を背けた。

キスの後の、お互いの荒くなった息遣いだけが響く中で、佳音は何も言葉にならなかった。どうにもならない苦しさが込み上げて、両手をぐっと握って懸命に堪えているのに、涙がにじみ出てくる。


すると、和寿の方が、いつか佳音の耳元で囁いたように、静かで深い声色で語り始める。


「君がドレスを作っているのを、あの椅子に座って見ていたときもずっと……、こうやって君に触れたかった」


それは、これまで聞くことのなかった、和寿の心情だった。
和寿は、佳音が彼への恋情に気がつく前から、ずっと佳音のことを想ってくれていたということだろうか……。


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