恋は死なない。
「濡れてた洋服は洗っておきましたから、着替える前に、どうぞシャワーを使ってください」
上半身だけベッドから身を起こし、まだ寝起きの表情の和寿に、佳音はそう声をかける。朝らしい笑顔を作りたかったが、複雑な心境を映してうまくいかず、逃げるようにドアを閉めた。
和寿が裸のまま部屋を出て、シャワーを浴びている音が、佳音のいるキッチンにまで響いてくる。こんなふうに、自分以外の人がここで生活する息吹を感じるのは、初めてのことだった。佳音は朝食を作っていた手を休め、和寿の洋服とバスタオルを脱衣所へと持っていった。
「僕の洋服、洗って乾かしてくれてて、ありがとう」
程なくして、昨日着てきた洋服をきちんと身に着けた和寿が、ダイニングに姿を現した。
「アイロンとドライヤーで、無理やり乾かしたんです。まだ生乾きかもしれません」
佳音の言うとおり少ししっとりしている感じはあったが、それよりもシャツもチノパンもピシッとアイロンが当てられていて、まるで下ろしたてのようだった。
「朝食、簡単なものしか用意できませんでしたけど、どうぞ」
佳音に促されて、和寿はテーブルに並べられたものに目を落とす。トーストとミルクティー、ハムエッグにはカットトマトが添えられていた。