恋は死なない。
「私は、心を込めてこのドレスを作りました。その私が、幸世さんの幸せを壊すわけにはいかないんです」
佳音の立場にも思いを馳せて、和寿はギュッと目をつぶった。拳もきつく握って、自分の中にある想いを処理する。
しばらく直立して考えていた和寿は、おもむろに目を開けると佳音にそれを合わせ、ようやく口を開いた。
「……じゃあ、僕の中にある君への想いは、どうすればいいんだ……」
悲痛さの中に深く激しい想いが潜む和寿の視線に射抜かれて、佳音は息ができなくなる。耐えられず和寿から目を逸らすと、すがるようにそこにあったダイニングの椅子に腰かけた。
テーブルに肘をついて、佳音も考える。
このままだと、きっと和寿はまた同じことを繰り返す。仕事が手に付かなくなって、周りの人間がその原因を探り、やがて会社や幸世の家族にも自分たちの関係が露見してしまうだろう。そうなったときの和寿の境遇を想像して、佳音は恐怖で震えてくる。
何よりも大切な和寿には、そんな破滅の道を歩んでほしくない。
佳音は頭を抱えてきつく唇を噛み、先ほど一人で固めた“覚悟”を奮い起こした。