恋は死なない。



「それじゃ、森園さんは好きなものは最後まで食べずに取っておくタイプなのかな?」


「は……?」


和寿から思いも寄らない質問をされて、佳音が和寿を見つめ返すと、和寿はその表情に面白そうな笑みを浮かべていた。
そんなふうに自分のことを分析されて、途端に佳音の顔に火がついた。


「…そ、そうじゃありません。あんまりケーキが綺麗だったから食べるのがもったいなくって……」


佳音はそう言いながら、ぎこちなくフォークを持ってケーキをひと口頬張る。本当にケーキが綺麗だと思っているのに、こんな言い方をすると焦って言い訳をしているみたいだと思った。

けれども、和寿のこの指摘は、佳音に一つの記憶を呼び起こさせる。


「そういえば……、小学生の時給食で出たプリンをなかなか食べられないことがあって……」


佳音が口を開いたので、和寿も相づちを打つ。


「プリンが嫌いだったとか?」


「いえ、その逆で大好きだったから、やっぱり食べるのがもったいなくって……」


「でも、給食だから……。結局、食べたんですよね?」


「……クラスの男子に取られました。『これ、食えないんだったら食ってやる』って……」


「ハハハハハ!」


佳音の話の顛末を聞いて、和寿は声を立てて笑った。朗らかに、本当に楽しそうに……。




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