雨のようなひとだった。
同じ会社で働いているんだ。
わかってくれるもんだろうと思っていた。
なりふり構わなくなっていた俺を応援してくれるだろうと、むしろ気遣ってくれるべきだとさえ思っていた。
「すんげー勝手だな」
呟きながらゴロリと身を捩ってうつ伏せになる。
未だ着替えていないシャツの胸あたりが痛い。……煙草が入っているからだ。
僅かに箱が凹む音が耳に届き、乱暴に胸ポケットから引き抜いて適当に投げた。カコンと窓に当たる音がして、そして、床に落ちる。
「…………くそ」
―――カ、シャン。
俺の声と同じタイミングで鍵が開く音がした。
彼女が帰宅したらしい。
店でなんだかまともに顔を見ることが出来なかった代わりにおかえりを伝えようと立ち上がろうとして、ばたベッドへと沈んだ。
だめだ。今は顔を合わせられない。
いくら一方的とはいえ、未練がましい俺の前に現れた天使だと思ってる彼女に対して今の俺は合わせる顔がない。