雨のようなひとだった。

 煙草を受け取ろうと目を遣ると、微かに手が震えているのに気が付いた。
 俺だけじゃなくて……もしかしたら俺以上に必死に虚勢を張っているのかもしれないと、今更気が付いた。

「……サンキュ」
「………うん」

 震えには気付かないふりをしてその手から煙草を受け取る。
 礼の言葉は自然と出た。
 少し遅れて返してきた声にほんの少しの安堵が混じっていることにも、気が付いた。

「ライター持ってね?」
「え?」
「点かねぇんだわ」

 向かい合ったまま訊ねると、虚を突かれたような声と表情が俺へ注がれる。
 まさか会話を仕掛けてくるとは思っていなかったんだろう。
 俺も、思っていなかった。

「あ……あるけど」
「貰ってもい?」
「……うん」

 構わず続ける俺に引きずられるように、ポーチからライターを取り出す。


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