雨のようなひとだった。
彼女はくすぐったそうに肩を竦ませて笑う。
「……私の心臓が鉄とか鋼とでも思ってます?」
「いや、でも……」
俺の部屋の、狭いベッドの上。
状況として色っぽいことこの上ないだろう。
ただ……互いに服を着たままだし、ただ抱きしめあっているだけだ。
しかも「外着のままだとベッドが汚れちゃいます」と言った彼女はきちんとシャワーを浴びて、俺も浴びて、……でも、部屋着をきちんと身につけてこうなっている。
結城なら簡単に服でも脱がしにかかるんだろうか。
出ていくとわかっている惚れかけた女相手に信頼なんて言ってられるかと、ちゃんと男のシンボル付いてんのかこのバカめ、まで散々言ってくる声が脳裏に蘇る。
(自分でも馬鹿だと思ってる………が)
俺は彼女の指を絡めて彼女を抱きしめた時から、不思議な感覚に陥っていた。