ルルー工房の月曜の午後
顔を近づけすぎてエドガーがのけぞっているのにも気づかず、ベルはさらに、ずい、と近づく。
「僕を工房に入れてください!」
勢いに押されて、エドガーが一歩下がった。
その足が地を擦る音で、ベルはハッとして身を引く。
慌てて「す、すみません!」と頭を下げると、エドガーは呆気にとられたような顔を、ほんのすこし和ませた。
「決断が早いな。――いいだろう。思い切りのいい奴は好きだ」
ついて来い、と、エドガーは背を向ける。
「よかったわね、坊や」と、またもや坊や呼ばわりするジゼルにも腹が立たないほどに高揚した赤を、ベルは頬ににじませる。
「ありがとうございます!」
勢いよく頭を下げて、ベルは慌ててその広い背中を追いかけた。