恋の指導は業務のあとに
出社2日目。
なんだか今日は昨日よりも緊張している。
だって、昨日会えなかった営業課の人達と初顔合わせをするんだもの。
それに加えて、昨日管理課と開発課の先輩女子たちに言われたことが、頭の中で何度も再生されるから困る。
『営業課の主任はすっごいイケメンで、女子社員達に人気がある』
『終始一緒にいられるなんてうらやましい』
『他部署の女子社員に嫉妬されないように気をつけたほうがいいわ』
などなど、その他いろいろコッソリ言われたのだ。
一緒にいるだけで嫉妬されるとか、どこのアイドル?って感じだけれど、営業課に女子が配属されるのは初めてだとも聞いたので、なんだかとっても不安になる。
どんな超絶イケメンなんだろうか。
王子さまみたいに優しい人だといいな。
そう、恋愛小説に出てきたような素敵な人だったら最高だ。
不安な気持ちを払拭するように脳内をお花畑に変えて、商品部の戸を開けた。
「おはようございます」
誰もいなかった昨日とは違って、営業課のデスクには数人の男子社員が座っている。
一番入口近くにいた人に声をかけると、私を見て満面の笑顔になった。
「ああキミが新入社員?俺は清水です。主任は今開発課の方に・・・あ、来た来た。主任!新入社員が来ましたよ!」
清水さんは私の背後に向かって手を振っているので、挨拶をしようとそっちに向き直った。
営業課に向かって歩いてくるその人を見て、一瞬息が止まって心臓がばくばくと鳴る。
まさか・・・でも、多分あの人が主任なんだろう、けれども・・・。