恋の指導は業務のあとに


「会社の歴史だな。入社式でもオリエンテーションでも映像として見たと思うが、これが実物だ。どうだ?」

「はい。たくさんあるんですね・・・」

「一口に知育玩具と言ってもいろいろある。指先を使うもの、頭を使うもの、視覚を使うものなどだ。これらを少しでも多くの子供たちに使ってもらうために販路と知名度を広げるのが、俺たちの仕事だ。売り込むためには商品のことを知らなければ駄目だ。今日一日これを使って遊べ」

「え?でもここのは、大事なものではないんですか」

「開発課の横にプレイルームがある。行くぞ」


スタスタ歩く羽生さんの後について行くと、開発課デスクの隣にある戸を開けた。

プレイルームと名付けられたその部屋は、学校の教室くらいの広さで、クリーム色に塗られた壁にはうさぎとクマと風船の絵が描かれていて、水色と桃色の小さな机と椅子がある。

踏むとモフモフするようなクッションが敷いてあるところもあって、まるでデパートのちびっこルームみたいだ。


「ドアが二つあるのは何でですか?」

「社員用とゲスト用。ここは、月に一度、実際に子供たちに遊んでもらっている部屋だ。ここにあるもの全種類、全力で遊べ。終ったらレポートを提出しろ」

「全力って、それはどう・・・」

「返事」

「はい!」


小さな靴箱があったので、そこにパンプスを置く。

何から遊べばいいのか迷うけれども、とりあえず無難な積み木から始めてみた。

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