恋の指導は業務のあとに


「メイクの仕方なんて教えてもらえたの?いいなあ、さすが秘書課だね。私なんて“全力で遊べ!”だよ。まあ仕事が違うから、しょうがないけど」


でも営業だって好感度は大事じゃないかな?って思う。

それを羽生さんに言ってみても無理だよね、きっと。


「若葉はそのままで十分好感度あるよ。私は好きだな、若葉の顔。若葉は自分の顔キライなの?」

「幼いでしょ?もっと大人っぽくなるメイクしたい」


大学時代ノーメイクで歩いていたら中学生にナンパされた話をすると、琴美は、若く見られるなんて羨ましいわ!と言いながらもクスクス笑った。


「髪を染めてなかったから、余計に幼く見えたみたいなの」

「でも若葉、それって長所の一つだと思うよ?」

「そうかな?ありがとう、琴美。そんなこと言われたの初めてだよ」


素直に嬉しい。

でもこの童顔のせいで、彼氏ができないんじゃないかとよく思う。

合コンに参加しても成功したことがないし。

何故か、小さい子にはモテるんだけどな。


「私は多分、受付になると思う。今いる先輩社員が近々寿で退職するらしいから」

「ああ、もしかしてあの髪の長い可愛い女子社員さん?」


多分エントランスの受付カウンターにいる、あの人だ。

ストレートヘアの目がくりっと大きくて、私と目が合った時にニコッと笑いかけてくれた優しそうな人。


「そう。二人いるうちのストレートヘアのほうの人。社内恋愛だそうよ。相手は経理課の人で超イケメンらしいの。受付っていつもあそこにいて、社員みんなが顔を知ってるじゃない。それに、来客の目にも止まるから見合い話も多いみたい。だからイイ男も掴まえやすいんだって」

< 24 / 111 >

この作品をシェア

pagetop