恋の指導は業務のあとに

「熱があるじゃないですか。もうっ、髪濡れたままで壁ドンなんかしてるからです」

「・・・あれは、あんたを、支えただけだ」


吐息混じりの辛そうな声だけど、反論する元気はあるようでとりあえず安心する。

けれど、家までたどり着いたら力果てたらしく、自力ではベッドまで行けないみたいだ。

昼間一緒にいたときは平気そうだったのに。

それとも平気なふりをしていたの?


「羽生さん?立てますか?肩に掴まって」


脇の下に入りこんで、必死で立たせる。

ヨタヨタして転びそうになりながらも歩いて、ベッドに着いたときには私の息が切れた。


「お、重かった・・・」


寝かせたのはいいけれど、羽生さんはスーツのままだ。


「あの、脱げますか?」


寝てしまったのか、声をかけてみるも反応しない。

仕方がないので、上着とネクタイとベルトを四苦八苦してなんとか脱がせた。

そして掛け布団を被せて、氷水で作った濡れタオルを額に当てる。


「具合が悪いなら、無理せずに仕事を休んだ方がいいですよ」


話しかけると、小さな呻き声をあげてもぞもぞ動いた。

その拍子にずれたタオルを直すと、またすぐに動いたので、今度は額からタオルが落ちた。

これでは目が離せない。

暫くの間そばにいようと決め、椅子を持ってきて腰を落ち着けた。

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