恋の指導は業務のあとに
羽生さんの顔が、小さなスタンドの明かりに照らされる。
長い睫毛にスーッと通った鼻筋は、本当に整った顔立ちだ。
清潔感もあるし、女子社員に人気があるのも分かる気がする。
こんな人の彼女は、どんな人なのだろうか。
きっとすごく綺麗な人なんだろうな。
額のタオルを何度か替えたころ、強烈な眠気が襲ってきた。
寝たらダメだと思うと余計に眠くなり、少しだけ目を休めるつもりでベッドに頭をあずけた。
「はっ、羽生さん?」
少しだけ目を休めるつもりが、ぐっすり眠っていて、気づけば朝になっていた。
しかも椅子に座っていた筈なのに、ベッドの上でしっかり布団を被っている。
これは、自分から羽生さんのベッドに乗ったのだろうか・・・そして、布団を奪った?
「やだ、やだ、私ったら、何してんのよ」
焦りつつ肝心の病人である羽生さんを探すも、どこにもいない。
キッチンカウンターの上に、『ありがとう。もう治った』とメモが置いてあった。
そうか、もう会社に行ったのだ。
「って、大変!もう家を出る時間じゃない!」
私も急いで支度をして出社すると、羽生さんはいつも通りにキリッとしていた。