恋の指導は業務のあとに

「俺はこの人を部屋まで送ってくる。カキネも部屋に戻れ」


酔った牧田さんの体を支えて立たせ、羽生さんは宴会場から出ていく。

くびれた腰に回した手が、なんだかなまめかしく見えた。

まっすぐ部屋に戻る気が起きなくて、1階のロビーから庭園を眺める。

すると、二人の男女が散歩してるのが見えた。

ふらふらと歩く女子を男子が支えている、あれは、羽生さんと牧田さんだ。

風にあたりに外に出たのだろうか。

彼女はふらつきながらも羽生さんの首に抱き付いて、そのまま背伸びをしてキスをしている。

見てはいけないものを見てしまった。

その先がとっても気になるけれど、目をそらしてロビーから出る。

あれが、牧田さんの作戦?

肌を見せて、酔ったふりをして、キスをして、せがんで・・・抱いてもらう?

羽生さんも男だもの、二人きりで色気たっぷりに迫られたら負けてしまうよね。


部屋に戻ろうとエレベーターを待っていると、上から降りてきた清水さんが出てきた。


「あ、ここにいたんすか。探していたんですよ。池垣さんもカラオケどうっすか。商品部のみんなも、同室の管理課の女子もいますよ。今部屋に戻っても、一人っすよー」

「ここカラオケも、あるんですか?」

「そう、1時までOKですよ。みんなもう歌ってます」

「わあ、行きます。カラオケ好きなんですー。アニソンからバラードまで、いけますよ」


思いっきり歌って騒げば、あのキスシーンが頭から消えるはずだ。

よし、歌うのだ!

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