性悪女子のツミとバツ
「でも、多分ですけど、ご主人が私に本気になることはなかったと思います。」
せめてもの罪滅ぼしにと、あの時の自分の勝算について、彼女に打ち明けることにする。
「単なるからかい半分や暇つぶしだったのか、それともほかに何か目的があったのか。」
もしかすると、単に婚約者にやきもちを妬いてほしかっただけなのかもしれない。
そんな可能性さえ考えた事は、悔しいので言わないでおいた。
「いずれにしても最初から、ご主人はあなたとご結婚されるつもりだった気がします。」
「の割には、積極的だったけど?」
「そりゃ、勝算がなくても、努力はしますよ。どうしても、お金持ちと結婚したかったので。」
「で、結局できたの?」
彼女は意地悪そうに笑って問いかける。
私は微笑みながら答えた。
「お金持ちではありませんけど、いい男ですよ。」
「目が覚めたのね?」
「まあ、そんなところです。」
私の答えにふふっと可愛らしく笑って、彼女は穏やかな表情の妊婦へと戻る。
「見かけても、今度からは他人のフリをするから。よろしくね。」
「はい。元気な赤ちゃんを産んでくださいね。」
「あなたもね。」
偶然にも別々の診察室から、同時に呼ばれた。
私たちはまた当たり障りのない挨拶を互いに口にして、立ち上がった。