グリッタリング・グリーン
──葉さんが指摘した箇所だった。
ハンティングを終えたら、このセットはまた解体して、本番まで別の場所で保管する。
それを見越して仮止めレベルの施工をしたスタッフに、それじゃかえって危ないと葉さんが怒鳴ったのだ。
「葉、おい」
慧さんの叫び声に我に返った。
誰かを助け起こしている。
葉さんだ。
よかった、とっさに壁際に逃げて、直撃は免れたんだ。
そう安心したのも、つかの間だった。
気を失って慧さんに抱かれている葉さんの、血に染まった左腕が、不自然な方向にねじれている。
目の前が、ぐらりとかしいだ。
あそこに逃げたんじゃなくて。
衝撃で、あの距離を吹きとばされたんだと。
そう気づいた時には、悲鳴をあげていた。
──葉さん!!
「エマさん、先生、なんて」
「外傷と骨折は別物みたい、でも神経を傷つけている可能性が高いから、一刻も早く手術をって」
神経。
息をのんだ私に、エマさんが続けた。
さすがの彼女も、青ざめている。
「実際、いくつかの指の感覚がないみたいなのよ、折れた上腕は、痛んで仕方ないのに」
「それで、葉さんは、どうしてるんですか…」
突然、ガシャーンと何かが割れる音がした。
出せ! という怒号と、誰かの悲鳴。
エマさんが「どうもこうも」と疲れたため息をつく。
「あのとおり、手負いの獣よ」