グリッタリング・グリーン
一直線すぎです、と頭の中で悲鳴をあげながら、ごめんなさい、と何度も謝った。

ああ怒ると思った、怒ると思った。



「ダメな日なら、言ってくれりゃ別に無理させないよ」

「そういうことでもないんです、すみません」

「ならいいだろ、なんで殴んの!」

「ダメなんです、無理なんです、すみません!」



何が! と声を荒げる葉さんの怒りから逃げるように、すっかり小さくなって、必死に叫んだ。



「はじめてなんです!」



落ちるであろう雷にそなえて、身構える。

動くことを忘れてしまったような状態の葉さんは、かなり長いこと、私を凝視して。

は…? と気の抜けた声をあげた。






「言えよ…」

「だって、タイミングが…」



葉さんは、相当ショックを受けたようだった。

これじゃ俺、暴漢じゃん、と力なくこぼして、飲む気すら湧かないらしく、ソファに顔を伏せている。

はっと頭を起こして、私を見た。



「まさか、キスも…」

「はあ…まあ」



言えよ! と頭を抱える声は、もはや悲痛だった。

だって、タイミングが、とさっきのくり返しだ。



「すみません、重いですよね」

「重いってなんだよ、嬉しいに決まってんじゃん、でも知らなかったら、味わえないわけ、一回きりなのに!」



座面を叩かれて、はいすみません! とまた謝った。

そっちがいきなりすぎるのが、なんてとても言えない。

ため息を漏らしながら、葉さんがソファに頬杖をつく。



「大学で彼氏とか、いなかったの?」

「いませんでした」

「高校は」

「女子高で」


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