バンテスト魔法書の保持者
ふざけてる、ふざけてる。


そう、僕は今、ふざけてる。


「あっれれ?バレちゃった?」


ニッといつもの表情を浮かべて、掴んでいた髪をはなす。


飄々と笑いながら、イナリシア王女から距離を取った。


そんな僕の様子を見たイナリシア王女は、大きな溜め息をついた。


「あなた、一瞬だけって言うたびに演技に入るわよね。本当に本心みたいだけれど」


「お褒めの言葉、いたみいります」


「褒めていません。みたい、であって、本心ではないのでしょう?」


「さぁて、どうでしょうかね~?」


呆れたような表情をするイナリシア王女。


ん~からかうなら、さっき会ったラメル王女の方がオモシロそうでだな~


「オシレット、今日は気をつけてね」


「ん?なんのことでしょうか?」


「試合のことよ」


「心配してくれるんですか?大丈夫ですよ」


「あなたじゃないわよ。1年生のリューラさんの方よ」


「ああ、そっちですか」


「あんまりイジメちゃダメよ?」


イジメるなんて心外な。


子猫ちゃんはきっと、僕を楽しませてくれる。


興奮を心の中に閉まって、イナリシア王女に笑みを向けた。


「ああそういえばイナリシア王女」


「なに?」


「1年の銀髪君を随分お気に召したと聞いたんですが、本当ですか?」


「銀髪君‥‥‥?もしかして、リオウ君のことかしら?」


銀髪君の名前を出した瞬間、イナリシア王女が少し顔を伏せた。


あらら、大国の宝である王女にこんな顔をさせるなんて‥‥‥


銀髪君も罪な男だな~
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