バンテスト魔法書の保持者
「そうそう、リオウ君ですよ」


「グランプリに誘っただけよ。断られてしまったけれど‥‥‥」


「断った?あなたのお誘いを?」


「ええ。ハッキリとね」


おお、これはいいネタだ♪


1年2位の期待の新入生が、学園のマドンナであるイナリシア王女の誘いを断った!


いいねいいね。


「オシレット、記事にしようとしてる?」


「あ、お見通しですか?」


「あなたね‥‥‥」


記事にしようとしている、というのは、僕が新聞部の部長であるからだ。


ま、部員数3人しかいないんだけどね~


ほとんど僕が記事集めしてるし。


編集は後の2人に任せてあるんだけど。


「今回の僕と子猫ちゃんの試合も、かなり注目されてるんですよ。特ダネですよ!」


「子猫ちゃんって‥‥‥はぁ~、あなたは本当に自由な人ね」


「僕が自由人?違いますよ。僕は忠実な家と国の犬です。安心してください」


「何を安心していいのかがわかりません」


イナリシア王女はそう言ってそばにある本を取るお、カウンターに借りる本を記入して図書室を出て行った。


あ~あ、本当にイナリシア王女って純粋だな~


真っ白で、大切に育てられた王女様。


ま、それもそうか。


「大切に育てられたぶん、君は絶望と不幸を味わうことになるんだから」


髪を握っていた感覚を思い出し、舌打ちをしそうになる。


ふざけてるでしょう?


違うんだよ、イナリシア王女。


あれは正真正銘の僕の本音。


真実を知った君は、いったいどうなるんだろうね?


ふざけているのはむしろ、いつもの作った僕。


ま、今は子猫ちゃんとの試合のとこだけを考えよう。










  どうしようもないこと。

  自分がここにいるのも、自分がこうなってしまったことも。

  何も求めてはいけない。

  全てが壊れる、その時まで。


『私はお前でお前は私だ。だから頼む。私の願いを叶えてくれ。そうすれば‥‥‥』





彼の内にある、もう1つの心。


彼も‥‥‥いや、彼らもまた、回り始めた歯車の1つ。


それに彼ら自身が気づくのは、まだ先の話。





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