溺愛伯爵さまが離してくれません!
そんな大袈裟な。
寝不足なのは夜会に出ているからでしょうに。
そうは思っても私の心はその一言で、激しく高鳴ります。
なんて単純な女なのでしょう。自分で自分に呆れてしまう。
でも、嘘でもなんでも、今は私を必要としてくれることがとても嬉しくて仕方ありませんでした。
「分かりました、帰ります。でも、帰ったからにはお仕事はしっかりとさせて頂きますので」
「いいのに、休んでも。ゆっくりとしたらいい。たまには僕がリーナを起こしに行きたいな」
「・・・っ、それは多分、無理です。伯爵さまが思っている以上に起きるのが早いですから」
起こしに行きたいな・・・って、一番油断している顔なんか見られた日には、目も当てられない。
何が何でも早く起きなければ・・・。
って、なんでそんなこと言うのですか。
もう、ドキドキしすぎて心臓がいくつあっても足りないわ。