きみへの想いを、エールにのせて

「榎本はいつもここにいるな。なんか見えるのか?」

「えっ? はい。あの……」


完全にテンパってしまい、言葉が出てこない。
そんなに鋭い質問しないでほしい。


「えーっと……。ほら、あっちの山がきれいでしょ、先生」


ほんのり秋色に染まり始めた山を見つけて、慌ててそう言うと……。


「ほほー。榎本は自然のうつろいに興味があるんだね。素晴らしい」

「あはっ」


思いがけず褒められてしまって、後味が悪い。
山の美しさなんて、今まで少しも気がつかなかったから。


「美術部にでも入って、絵を描いてみたらどうだ?」

「いえっ。私、ドラえもんくらいしか描けないんです」

「ドラえもんってお前……」


先生はケラケラ笑うけど、私は冷や汗タラタラ。
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